概要
ExcelのCopilotは、操作場所を覚えることよりも「対象データ」「やってほしいこと」「期待する出力」を言葉で明確にすることが重要です。たとえば「分析して」だけではなく、「商品別・月別に集計し、売上上位3商品と前月比が悪化した商品を、根拠となる数値つきで示して」と依頼します。
動画は、表記ゆれを直す初歩的な操作から、数式・ピボット・グラフ・分析・自動化・予測へ進みます。いずれもCopilotに丸投げするのではなく、元データを整え、提案内容を確認し、結果を人が採用する流れです。
動画チャプター
見たい操作からYouTubeを再生できます。公開チャプターを記事向けに表記整理しています。
- 0:00 オープニング
- 1:36 3つの事前準備
- 2:20 ライセンス
- 3:24 OneDrive・SharePointへの保存
- 4:26 テーブル形式への変換
- 7:05 データ整形
- 9:02 数式の生成
- 12:45 エラー修正
- 14:24 ピボットテーブル
- 17:36 グラフ作成
- 21:18 インサイト分析
- 25:41 条件分岐・条件付き書式
- 28:31 AI関数
- 34:05 VBA章(実演はOffice Script)
- 37:21 売上予測
- 39:50 まとめ
始める前の3つの確認
- 対象機能を使える契約・アカウントか:Microsoft 365のプラン、Copilotライセンス、個人/法人アカウント、組織の設定によって表示される機能が変わります。まずExcel上にCopilotが表示されるか確認します。
- ファイルの保存先が適切か:共同編集やCopilot機能では、OneDriveまたはSharePointへの保存が求められる場合があります。機密区分と共有権限も先に確認します。
- データが分析しやすい形か:1行に1件、1列に1項目、見出しは1行、結合セルや空白行は避けるのが基本です。Ctrl+Tでテーブル化しておくと対象範囲が明確になり、安定した操作につながります。
利用できる機能は契約や組織設定で異なるため、実際のExcel画面で最新の対応状況を確認してください。
投影資料の要点
動画の投影資料は、Copilot×Excelの活用範囲を次の6つに整理しています。
- 準備:利用資格、クラウド保存、データ形式を確認する
- 整形・計算:表記ゆれの修正、列の追加、数式の生成、エラー原因の説明を行う
- 集計・可視化:ピボットテーブルとグラフで、見るべき切り口を形にする
- 分析・判断支援:傾向、外れ値、達成率、利益率を整理し、条件付き書式で注意箇所を見える化する
- 生成AI関数:セル内で文章分類・要約などを試す。ただし関数名、提供対象、継続期間は変わり得る
- 自動化・予測:Office Scriptなどで反復操作を自動化し、過去データから予測シナリオを作る
サンプルデータで試したあと、自社データでは少量のコピーから検証すると、変更内容を比較しやすくなります。
分析・関数・グラフ自動化の完全手順
1. データをテーブルとして整える
見出し行を1つにし、空白行・結合セル・小計行を取り除きます。対象範囲を選択してCtrl+Tでテーブル化し、「先頭行をテーブルの見出しとして使用する」を確認します。現在の機能にはテーブルに近い範囲を扱えるものもありますが、テーブル化は対象範囲を明確にする実務上のおすすめです。
2. 表記ゆれと不要な空白を修正する
会社名、電話番号、氏名、日付などのルールを明示して統一します。「きれいにして」ではなく、全角・半角、記号、日付形式、原文を残すかどうかを指定します。変更件数と例外候補も出させます。
3. 数式を作り、意味を説明させる
追加したい列と計算定義を伝えると、適切な数式の候補を作れます。構造化参照を使うか通常のセル参照を使うか、ゼロ除算や空白をどう扱うかも指定すると安全です。提案された式は数行で手計算と照合します。
4. エラーの原因を特定して修正する
#DIV/0!、#N/A、#VALUE!などが出たセルを対象に、原因、修正式、結果への影響を説明させます。単にエラーを非表示にするIFERRORだけでなく、参照範囲やデータ型に問題がないかを先に確認します。
5. ピボットテーブルで切り口を変えて集計する
「行=商品名、列=月、値=売上金額の合計」のように配置を具体的に指定します。集計方法が合計・平均・件数のどれか、日付のグループ化、空白や重複の扱いを確認します。
6. グラフを作り、伝える数字を絞る
棒、折れ線、円、複合グラフなどの種類と、横軸・系列・強調したい指標を指定します。グラフを作ること自体ではなく、「誰が何を判断するためのグラフか」を伝えると、タイトルや注記も改善できます。
7. インサイトと条件付き書式を作る
全体傾向、上位・下位、急増・急減、外れ値、欠損を分析し、根拠となるセルや数値を示させます。達成率80%未満は赤、100%以上は緑など、判断基準が決まっている場合は条件付き書式に落とし込みます。
8. AI関数を試す場合は提供状況を先に確認する
動画では「LABS.GENERATIVEAI」を使ったセル内生成を紹介していますが、実演環境では正常に動きませんでした。現在案内されている「COPILOT」関数も対象ユーザー・更新チャネルが限られ、提供終了予定が案内されています。業務の恒久フローに組み込む前に、後述の注意点を確認してください。
9. 反復操作をOffice Scriptで自動化する
見出しの色、数値形式、列幅、並べ替えなどの定型操作を言葉で説明し、Office Scriptのたたき台を作ります。実行前に対象シート、範囲、上書き内容をコードとテスト用ファイルで確認します。
10. 予測は3シナリオと根拠をセットにする
過去データから来月の見通しを出すときは、楽観・標準・悲観の3シナリオ、前提、計算方法、予測を崩す要因を示させます。相関と因果を混同せず、予測値は意思決定の参考情報として扱います。
コピペ用プロンプト10選
対象のテーブルや範囲を選択してから使い、角括弧の条件を自社データに合わせて変更してください。
データ整形
選択した表を次のルールで整えてください。
会社名の略称を正式名称に統一し、電話番号は半角数字と半角ハイフンにそろえ、
氏名の前後と文字間にある余分な空白を削除してください。
元データは残し、変更件数と判断できなかった行を報告してください。割合の数式
基本給に対する手当の割合を計算する列を追加してください。
基本給が空白または0の場合は空白を返してください。
使用した数式と考え方を説明し、結果をパーセント表示にしてください。エラー修正
選択した範囲にある数式エラーを調べてください。
セルごとにエラーの種類、原因、修正式、修正による影響を説明してください。
エラーを隠すだけではなく、参照範囲とデータ型の問題を優先して確認してください。ピボットテーブル
この売上テーブルから、商品名別・月別の売上金額を集計したピボットテーブルを作成してください。
行に商品名、列に年月、値に売上金額の合計を配置し、総計も表示してください。
空白と重複がある場合は作成前に報告してください。複合グラフ
月別売上を棒グラフ、前月比を折れ線にした複合グラフを作成してください。
前月比は第2軸を使い、タイトル・軸ラベル・凡例を付けてください。
経営会議で増減がひと目で分かるように整えてください。経営報告用の分析
売上データの達成率と営業利益率を分析してください。
全体傾向、上位3件、下位3件、前月から大きく変化した項目、追加確認が必要な点を、
根拠となる数値とセル範囲つきでまとめてください。ランク列
売上金額に基づくランク列を追加してください。
300万円以上はA、100万円以上300万円未満はB、50万円以上100万円未満はC、
50万円未満はDとし、使用した数式を説明してください。条件付き書式
達成率列に条件付き書式を設定してください。
80%未満は赤、100%以上は緑で強調し、80%以上100%未満は変更しないでください。
適用範囲と設定したルールを報告してください。Office Script
次の処理を行うExcel用Office Scriptを作成してください。
5行目の見出しを薄い青、太字、中央揃えにし、金額列を3桁区切りにします。
対象シート名と範囲は冒頭の変数で変更できるようにし、実行前の注意点も説明してください。売上予測
過去12か月の売上から来月を予測してください。
楽観・標準・悲観の3シナリオについて、予測値、前提、計算方法、主な変動要因を示してください。
データ不足や外れ値がある場合は先に指摘し、確定値のように表現しないでください。正確に使うための注意点
実務へ導入する流れ
- コピーで試す:本番ファイルではなく、個人情報や機密情報を除いた少量のサンプルで操作を確認します。
- 正解を決める:数式、集計軸、グラフ、書式の期待結果を人が定義し、Copilotの出力と比較します。
- 再利用できる指示にする:うまくいったプロンプトを対象列・条件・確認項目とセットで手順書にします。
- 権限と例外処理を決める:保存先、共有範囲、誤入力やエラー時の戻し方、最終確認者を決めてから本番化します。
Excelは数字が合っているように見えるほど、誤りに気づきにくい領域です。スピードだけでなく、変更履歴、根拠、確認手順までセットで設計すると、Copilotを安全に日常業務へ取り込めます。
